海外で不動産投資を検討する際、建物だけを購入し、土地は借りて家賃収入を得るという方法があります。土地を買わない分、投下資本が抑えられ、利回りが高く見えるため人気の手法です。
ところが日本の税理士が「建物を取得するということは借地権も含まれるので、価格を借地権と建物に区分し、建物だけを減価償却します」と説明することがあります。契約していない借地権がなぜ出てくるのか、不思議に感じるでしょう。
背景にあるのは、日本独特の借地借家法です。戦後の住宅不足を受け、居住安定を最優先にした結果、借主を強く保護する制度が生まれました。建物が存在すれば借地権は強固になり、契約期間が過ぎても簡単には終了しません。建物を取得すれば、借地権も一体で動くという発想がここから生まれます。
しかし、世界の多くの国は契約主義です。契約がなければ権利もなく、自動的に強い借地権が発生することは通常ありません。
この違いが問題になるのは、日本へ永久帰国する場面です。帰国支援のご相談で「使っていない土地を貸そう」という話になりますが、日本で土地を貸して建物が建つと、強い借地関係が固定化する可能性があります。将来売却や再活用をしたくても簡単には整理できません。
日本で土地を貸すことは、単なる賃貸ではありません。場合によっては強い権利を相手に与える行為です。永久帰国を見据えるなら、税務だけでなく権利関係まで含めた慎重な判断が欠かせません。